知っているようで知らない、歯周病ケアに役立つ歯ミガキの方法

歯周病ケアの第一歩は、毎日の歯ミガキから。

「毎日、歯を磨いていますか?」と尋ねると、ほとんどの患者様は「最低でも一日一回は磨いています」とお答えになります。

確かに、最近は、歯を全く磨かないという人は、非常に少なくなりました。しかし、歯科医の目から見ると、「磨いている」と「磨けている」とは全くの別物で、多くの方が正しいブラッシングができておらず、「磨けていない」ということが現状です。

歯には構造上、プラーク(歯周病の原因となる細菌の塊)のたまりやすい場所があり、そこを重点的に磨くことが大切になります。

プラーク(歯周病の原因となる細菌の塊)のたまりやすい場所は?

歯周病の溜まりやすい歯周病ポケット
歯周病ポケット

歯にはプラークのたまりやすい場所が3箇所あります。

・ 歯の表面にある小さな溝
・ 歯と歯の間
・ 歯の周りの歯周ポケット(歯と歯肉の間にある全周に渡る溝)

これらは、どれも歯ブラシが届きづらい場所です。

この中でも、特に歯周病に関係するのは、歯の周りの歯周ポケットです。 歯周ポケットは正常時で深さが2mm程度ですが、歯周病が進むとだんだんと深くなります。その結果、汚れが溜まりやすく、磨きにくくなっていきます。

この溝の中を正確に磨くことが、歯周病ケアのブラッシングの基本です。

歯周病ケアのための正しいブラッシング方法

歯周病ケアのブラッシング角度
歯周病ケアのブラッシング

歯周ポケットは、上記に述べたとおり溝状になっています。その溝の中に歯ブラシの毛先を正確に入れることが第一です。

・ ブラシを歯面に対して45°位の角度で当て、歯周ポケットの中に毛先を突っ込みます。
・ 歯周ポケットの中に毛先が入ったら、歯ブラシは小刻みに振動させるように動かします。

これを全周に渡って行ってください。慣れないうちは鏡で確認しながら磨くと判りやすいです。 動かした時に、毛先が歯周ポケットからはみ出る場合は、動かし過ぎです。また、歯磨きをしている時にカシャカシャと音がするのも動かし過ぎです。

力を入れて磨くことも厳禁で、逆に歯肉を傷つけることになります。ペンを持つような握り方で、優しく磨いてください。

歯周病ケアのためのブラッシングの時間や回数

昔は「1回3分間磨きましょう」と洗面所に砂時計を置き計っていました。しかし、ブラッシングは質が大切なので、時間の長さは関係ありません。もし、上記の方法ですべての歯を磨くと、最低でも15分から20分ぐらいは時間がかかります。

回数は1日3回毎食後に磨くのが理想です。しかし仕事や時間的な問題で難しい方は、最低でも1日1回、就寝前には必ずしっかり磨くようにしてください。

以前、テレビ等で食後30分以内は歯磨きをするべきではないという話題が取り上げられた時期がありました。 しかし、これは酸蝕症の話で、歯周病とは別の話です。 普通の食事では関係がありませんので、できれば食後すぐに磨いた方が良いです。

酸蝕症とは
スポーツ飲料、炭酸飲料、酢、柑橘類など酸性の強い飲食物で歯が溶ける病気のことです。こういったものを摂取した場合は、口を軽くすすぐなどして、酸を洗い流し、30分以上開けてから歯磨きをしてください。

歯周病ケアに効果的なおすすめ歯磨き粉、使用方法

おすすめ歯周病ケア歯磨き粉.jpg
歯周病ケア用歯磨き粉

歯磨き粉を使用するメリットは、フッ素による歯質強化、爽快感、口臭の予防効果などです。 デメリットは、研磨剤による歯のすり減り、磨けていなくても得られる爽快感、長時間歯磨きをする上で障害となる発泡性などです。

当院でおすすめしている歯磨き粉は、チェックアップ(ライオン歯科材株式会社)です。低研磨性、低発泡性であり、フッ素の滞留性も良いです。その他、ガム(サンスター)にも同じような効果があります。

様々な歯磨き粉が発売されていますので、フッ素入りで、低研磨、低発泡性のものを選択してください。この点を抑えれば、フレーバーなどはお好みで選んでいただいて大丈夫です。

歯磨き粉の使用方法としては、一回目は水だけでしっかり磨き、仕上げ磨きとして歯磨き粉をつけ軽く磨くのが良いです。この際すすぎは少量の水で5秒程度、一回のみが良いです。そうするとよりフッ素の効果が有効になります。

歯周病ケアに効果的なおすすめ歯ブラシ、電動歯ブラシ

歯周病ケア用歯ブラシ
歯周病ケア用歯ブラシ

歯ブラシを選ぶときには、なるべく毛の柔らかい物にして下さい。硬い毛でゴシゴシ磨くと、汚れが落ちるような気がしますが、ある大学の実験によると毛の硬さと汚れの落ちる割合には関係がありませんでした。

ですから、歯や歯肉を傷めないためにも、柔らかい歯ブラシを選択して下さい。DENT.EX systema44M(ライオン歯科材株式会社)は毛が柔らかく、また極細毛で歯周ポケットに毛先を入れやすいため、歯周病ケアにはおすすめです。

また、最近使用されている方が多い電動歯ブラシも、音波歯ブラシなら良いと思います。ただ回転するだけのものは歯周ポケットの中に毛先を入れづらいので、歯周病ケアにはあまりおすすめできません。

音波歯ブラシを使うことで、安心されている方も多いようですが、どのブラシを使うにしても、正確に歯周ポケット内を磨くことが一番大切になります。

歯ブラシ以外の歯周病ケア清掃器具(糸ようじや歯間ブラシ)

デンタルフロスの使い方
デンタルフロスの使い方

現在、歯ブラシ以外の清掃道具もいろいろなものが発売されております。どれを使用するかは、歯周病の状態により違いますが、デンタルフロス(糸ようじ)の使用は必須です。

歯と歯のくっついた部分やその直下の歯周ポケットに、ブラシを入れるのは非常に困難です。デンタルフロスを通して、汚れをこそぎ落とす必要があります。これも強くやり過ぎると歯肉を傷め、かえって逆効果になるのでお気をつけください。

また歯と歯の間の根本の部分に隙間が開いている方には、歯間ブラシも有効です。歯肉を傷つけないよう、隙間に対して少し小さめのサイズを選ぶ事が重要です。フロスの使い方や歯間ブラシのサイズの選択は難しいので、困った時は、歯科医に相談することをお勧めします

洗口液(マウスウォッシュ、デンタルリンス)の歯周病予防効果

患者様から
「歯磨きの代わりに、洗口液だけではダメでしょうか?」
「歯周病にきく薬はありませんか?」
とよく質問を受けます。

しかし洗口液は、歯に付着し堆積した汚れの中までは浸透しません。また歯周病が治る薬もありません。

最近では様々な情報がネットにあふれ、ヨーグルトで歯を磨いたり、ビオフェルミンを歯に塗って寝たり、イソジンでうがいをしたりなどといろいろ方法を目にします。しかし、実際に効果があるのか、真偽の程はわかりません。

確実に言えることは、毎日、正確に歯磨きをすることが、歯周病の治療・予防に一番効果的であるという事です。洗口液(マウスウォッシュ、デンタルリンス)の使用は、あくまで補完的なことだとお考えください。

カテゴリー:歯周病

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